寒立馬を守る会へようこそ!

〜寒立馬を守る会について〜

NPO 寒立馬を守る会 

2013年設立。(法人ではありません)

 

 

◎団体設立までの経緯

青森県は下北半島の北東端、尻屋崎。そこで〝寒立馬〟という存在を知ったのは2012年の冬でした。

当初、何も知らない私は毎日馬達と過ごし、その愛くるしい姿から生きることの意義と安らぎを教えられました。

(寒立馬とは青森県東通村の尻屋崎に生息する野放し馬で、青森県の天然記念物に指定されています。)

その2ヶ月後、馬達には一頭一頭名前がつけられていることを知り、

毎日馬の元へ通う私の耳に「もしかすると馬の〝春風〟(寒立馬の名前)がいなくなるかもしれない」という話が届いてきました。

「保護されているはずなのに、なぜ毎年、馬が売られているのか?」胸が押しつぶされそうになり、悲しみに暮れました。

寒立馬は野放し馬とはいえ、管理人の人件費の他、越冬する為の飼料費等がかかっています。

 

管理する東通村は厳しい財政難の中、少しでも費用を捻出する為、毎年馬達に自然交配をさせ、仔馬を出産させています。

そして毎年11月頃、頭数調整といった名目で10頭近くの馬(牡馬・仔馬中心)を主に食肉業者が集うセリ市場に出し、売却益を得ています。観光地でありながら、決して表沙汰にならない、しかしそれによってなんとか成り立っているのが現実です。

ところが、2013年の11月には7頭、201411月には10頭の馬達をセリ寸前、まるでドラマの様な経緯でレスキューすることに成功します。ブログ等で発信した私の〝救いたい〟想いは、全国の多くの人達の共感を得、その方々からのカンパ金・ご協力によって、死ぬ運命だった馬達は、いま、幸せな馬生を送っています。

その馬達を支えて下さっている多くの人達に感謝し、私もこれから馬達の為に出来ることをしていきたく、

『寒立馬を守る会』を設立しました。

 

 

 

 

◎団体のミッション・活動の目的

寒立馬が、毎年食肉用として販売されることを防ぐ為に、

肉になるだけの馬ではない(他にも活用方法がある)ことを世の中に示していきます。

 

寒立馬の存在と可能性を多くの人々に知って頂き、〝馬〟そのものの可能性を広めていきます。

いずれは青森県と東通村が、寒立馬の根本的な保護改善と受胎計画を行い、

馬が一生を終える日まで保護管理されることを目標とします。

 

馬と人、地域との調和が図られ、そして観光で馬を訪れる沢山の人達を本当の笑顔にしたいという想い。

健全で開かれた観光地となるよう願いを込めて。

 

 

 

 

◎今までの活動内容

寒立馬の真実を知って欲しいという想いから、佐藤が2013年よりインターネットで馬たちの活動・日常生活の写真を発信しております。そして馬の命を繋ぐ・救う点においては、合計17頭の馬を201314年に青森県のセリ市場を介して購入しました。

購入希望者への支援、情報提供、現地視察への同行、などしてきました。

 馬達は主に、馬耕、馬搬、ホースセラピー、馬車、乗用馬として現在、活躍しています。

 

 

 

 

◎今後の活動計画

温厚で可愛らしい寒立馬を迎え入れたいと声をあげて下さる方はまだまだ全国各地にいます。

2015年6月からは、岩手県の安比高原に4頭の雄の仔馬が放牧されました。2017年は6頭を放牧。

今後も、全国各地で人と馬とが共生できることを世に発信していく為、

新しい道を歩み始めた(元)寒立馬活動を支援していきたいと考えています。

いずれは、青森県と、寒立馬が生息する東通村にも声が届き、全ての寒立馬の命の保護に繋がれば何よりです。

寒立馬をモデルとしたグッズ販売も促進し、売上の一部をそれらの経費に充て、活動を活性化したく考えています。

毎年11月に青森県で開催されるセリ市場では、寒立馬が売られますが、

こちらも状況に応じて新たに購入し、同様に支援することを検討していきます。

 

 

 

 

◎寒立馬を守る会のもう一つの目的

新たな生き方を見い出した(元)寒立馬の活動を支援し、

世に広めることで人と馬とが共生する暮らしを社会に浸透させる。

 

 

 

 

◎会の内容

全国各地に引き取られた(元)寒立馬の飼育保護支援、馬搬・馬耕等の1次産業への活用支援、引き馬・乗馬への活用支援。

それらを世に広める為の各種イベントの開催支援

インターネットを活用した馬達の現在状況の発信

現地視察と情報発信

 

 

 

 

◎馬の飼育管理者 紹介

 

1. 春風(はるかぜ)

        佐藤 陽子

        寒立馬を守る会 代表   

 

 

 2. 芝祝(しばいわい)、風神(ふうじん)

         菊地 辰徳 様      

 

   

 3.寺優(てらゆう)、優浪(ゆうろう)、霧芝(きりしば)、

        流雲(りゅうぐも)、安菜(あんな)、浜章(はましょう)、風希(ふうき)

        岩間 敬 様

        遠野馬搬振興会 事務局長

 

 

 4.風雅(ふうが)、若月(わかつき)

        村田 忍 様

        獣医師、牧場経営者

        災害救助犬調教師        

 

    

 5.花雪(はなゆき)

        鈴木 様

        高知県四万十市     

 

   

 6.風月(ふうげつ)

        山下 勉 様

        あわじシェアホースクラブ       

 

  

 7.芝章(しばしょう)

        八丸 健 様

八丸牧場 80エンタープライズ,INC. 代表

 

 

  西風(にしかぜ)改名後 →寒太(かんた)

       野口 克之 様

       御殿場カルチャーファーム 代表    

 

    

 9.岬(みさき)

        NPO法人しんりん 様

 

 

10.愛鴎(あいおう)

   厩舎みちくさ 様 

 

 

11.陽菜(はるな)

    松原ステーブルス 様

 

 

※この他に、個人、団体、施設の方がセリで購入し飼育している方もいらっしゃいます。

 

 

 

 

◎期待される効果

新たな〝人生〟に向け、既に歩み始めた(元)寒立馬活動がモデルとなり、人と馬とが共生する暮らしが社会に浸透する。それにより、人々が寒立馬を始めとするあらゆる馬の活用方法を再考し、命を〝救う〟保護から〝活かす〟保護を推進する切欠となる。副次的に以下の様な効果も期待される。

1.林業や農業といった1次産業への馬力活用により、重機の使用を抑え、有限である化石燃料の枯渇を防ぐ。

2.フンは作物の堆肥として利用でき、重機の使用と比較し、産廃の発生がなく、循環型社会の実現に繋がる。

3.林業の面では、馬搬は重機の使用と比較し、事前の作業用道路造成が不要であり、機動性を活かせる。

4.乗馬や触れ合いを通じ、人々の心身が健全に育まれる。

 

 

 

 

◎このプロジェクトを達成するための課題と現実

現在、(元)寒立馬達は、馬搬・馬耕・触れ合い・馬車・乗馬といった新たな活用方法が見い出され、実際に調教が進められており活動をしている。本当の意味で馬と人との共生を実現する為には、馬が人の経済活動にしっかりと溶け込み、実際に仕事を行い、収入と支出のバランスが安定する様、人の協力を得ながらも馬自身が自立することである。

 

 

 

 

 

~最後に~

寒立馬(かんだちめ)は、青森県下北半島に位置する、尻屋という集落の放牧地に居ます。

青森県の天然記念物に指定され、観光PRとして、県内外から、毎年数多くの人が観光に馬に会いにきます。

南部馬の血を受け継ぐ馬は、現在、この寒立馬しかいません。

わたしは、2013年より活動を始めました。

 

私は、寒立馬を買ってほしいが為に活動しているのではありません。

「いつかはかんだちめの未来が変わる」と信じて、そのために、今は一頭でもその命を馬肉という形で終わらせるよりは馬を活かしてくださる方たちの元へ行ってほしい。生きてほしい。という願いから活動をしています。

売ること、買うことが目的じゃなくて、セリにだすことを止めてもらいたいのが私、佐藤の考えです。

この先の未来を担っていく若い世代の為にも、時には昔の考えや歴史を変えなければならない事も必要だと思いますが、

尻屋の人々、牧野組合、その土地の習慣、背景、歴史も重んじております。

そのうえで、願わくば、寒立馬を青森県と東通村が観光名所に指定し続けている以上は、

そこで産まれた馬の命はその産まれた地で死ぬまで責任を持って、飼育管理していただきたいのです。

それが私の願いです。

 

どんな馬でも可能性を持っています。

馬は競走馬だけではありません。

古い日本の歴史には、かつて農耕馬がおりました。

田畑を耕し、山から丸太を運び、家族として人と馬が生きていた時代があります。

今では後退してしまった背景ですが、何百年もの歴史と、農耕馬の特徴を持つ馬のひとつがこの寒立馬です。

南部馬の血を受け継ぐ寒立馬という馬が日本にいること、寒立馬の存在が広まり、

また、この現代の日本に、馬と人のつながりが蘇ってほしいと願います。

 

勿論、私一人だけの力では不可能です。色んな人が関わり、沢山の人がいて成し得ることです。

新しい場所に受け入れられた寒立馬たちには、本来の姿である農耕馬として。

または、乗用馬・ホースセラピーとして。

地域の中で、人と馬が共に歩めるように。

寒立馬たちの新たな未来が開いていけるように。

 

時代の流れとともに馬の保護の在り方は変わっていきました。

私は、人と馬が共存し、馬も人も幸せな気持ちで暮らしていける未来が開いてほしいと願っています。

そして、100年、200年後も人類が地球上にいる限り、世界とこの日本に、寒立馬11頭が生きていた証、

歴史と文化を形として残していきたいと思っています。

この先、寒立馬という存在が消えても、管理し携わってきた人々や私や有志たちがこの世を去った後も、

その形が軌跡としてまた誰かの胸に伝わり、歴史に受け継がれてくれることを願っております。

 

寒立馬という名前は、青森県東通村から一歩外へ出ると寒立馬という名前ではなくなりますが、

たとえ寒立馬という名前でなくなっても、彼女たちは青森県の地で生まれ育まれた命です。

名前が変わっても立派な寒立馬たちです。

青森県東通村に生息する寒立馬たちと、そこから新しい道を歩み始めた馬たちの行く末を、

どうか見守っていてくだされば幸いです。

私は皆様とともに情報交換をし合い、協力しながら活動を続けております。

一人でも多くの皆様からのご協力をお待ちしております。

 

寒立馬を守る会 代表 佐藤 陽子